• 本当は、田舎に庵を建てて隠遁生活したいけど、先立つものも無いので自宅で..。

マッチングパッドのシミュレーション

VNWA3は、ポートのインピーダンスが50Ωに固定されている。 しかし、測定したいフィルタ等の入出力インピーダンスは50Ωとは限らない。 そういったデバイスを測定する際には、LCによるマッチング回路を使って測定していた。

LCによるマッチング回路は、挿入損失はほとんどないが、マッチングが取れるのは設計した周波数1点だけになる。

そこで、抵抗によるマッチングパッドでどの程度測定できるのか、シミュレーションしてみた。

cohn filter

まず、測定するデバイスとして、前回検討したCohnフィルタをAADE Filter Designを使って設計した。

cohn filter

これを、Qucsでシミュレーションする。 入出力インピーダンスは、600.189Ω。

matching pad

次に、AADEで入力50Ω、出力600.189Ωのマッチングパッドを設計する。 減衰量は、-16.63dBになった。

matching pad Qucs

これをQucsでシミュレーションすると..

あたりまえだけど、周波数依存性は全くない。

matching pad qucs

次に、出力側も50Ωにしたいので、550.189Ωを追加してシミュレーションする。

減衰量は、-27.4dBになった。 測定系のダイナミックレンジが小さいと、ちょっときつい減衰量かも..。

matching pad

このマッチングパッドを追加して、クリスタルフィルタをシミュレーションしてみると..

センターの減衰量が27.44dB増加した。 これは、マッチングパッドの減衰量と同じ。 縦軸が違うので、減衰特性が異なっているように見えるが、数値で見ると減衰量が27dB程度増えただけでほぼ同じになっていた。 ただ、入力インピーダンスの周波数依存性が全く見えなくなっているが、これは正しい結果なのかな..。

cohn filter

ちなみに、部品の値をE12系列に変更してシミュレーションしてみると..

ほぼ同じ結果になった。

LC回路によるマッチング回路にくらべて、インダクタを巻かなくてよいこと、周波数依存性がないことなど、結構メリットがありそうだ。 

VNWA3のダイナミックレンジは、マニュアルによると~500MHzで90dB程度あるので、十分有効な方法だと思う。

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