YaesuのFT-40の薄っぺらなマニュアルには、回路図が添付されています。
この回路図を見ると、2種類のマッチング回路を切り替えているようです。
そして容量の変化は、8種類のコンデンサは並列に、9種類のコイルは直列に接続してキャパシタンス、インダクタンスを可変する仕掛けになっています。
8種類のコンデンサと9種類のコイルの組み合わせは、コンデンサは255通り、コイルは511通りとなります。 パイ型のアンテナ側のコンデンサは可変になっていないので、コンデンサとコイルの全ての組み合わせは、130305通りになります。
それぞれの組み合わせに対して、インピーダンスの計算をしていけば、どんなアンテナインピーダンスとマッチングが取れるか計算できそうです。
で、実際に計算してみました。 結果は、かなり広い複素平面に拡がるので、スミスチャートにプロットすることにしました。 私がプログラミングで愛用しているVisual StudioのC#は、複素数の演算ができるので計算も比較的容易です。
左の図は、7MHzのパイ回路で計算した結果です。 面白いパターンが描かれたので少し驚いています。
左の図は、L回路で計算した結果です。 パイ回路で抵抗成分の低い領域、L回路で抵抗成分の高い領域と、巧みに広範囲のアンテナインピーダンスをカバーしていることが判ります。
50MHzで計算してみると..
傾向は同じですが、かなり疎らになります。 周波数が高くなると、容量やインダクタのステップが相対的に大きくなるので、まあ、納得できる結果です。
さて、FC-40のマッチング範囲を知ることができ、かなり広いインピーダンス範囲でマッチングが取れることが判りましたが、アンテナのインピーダンスが不明なので、実際のアンテナでマッチングが取れるかどうかとか、現状のアンテナをどうやったらよいのかということは、さっぱり判りません。
それと、実際のSWRミニマムに収斂させるアルゴリズムは不明ですし、全ての組み合わせについて計算しているとは限らないので、必ず最適解にたどり着くとも限りません。
実際に使用しているときでも、常に同じようにSWRが下がるわけではないことを経験しています。
一応、FC-40のマッチング範囲は推定できましたが、これからどう活用したもんかなぁ..。