VNWA3の通過特性の測定結果があやしいので、クリスタルフィルタの特性をマニュアルの倣って測定してみました。
まず、治具を作製します。 治具というほどのものでもないですが..
マニュアルでは、中心周波数を決めるために一度キャリブレーション前に測定していますが、今回は、中心周波数は判っているのでキャリブレーションから実行しました。
測定は、Number of Datapoints = 500、Time per datapoint =8ms、中心周波数9.0106MHz 2kHzスパンで行いました。
データポイント数は、最大8192まで設定でき、データポイント数が大きいとグラフが滑らかになります。 しかし、マニュアルに”クリスタルフィルタは、Qが大きいので周波数を変更した後、状態が安定するに時間がかかる”というような記述があったため、マニュアルどおり500ポイント、8ms、測定時間4sとしました。
Calibration kit settingも、Loadの抵抗値以外は、マニュアル通り設定しました。 Loadの抵抗値は、LCRメータでの実測値50.3Ωとしました。
キャリブレーション実行後、位相の補正を行います。
フィルターを搭載していない治具をTX,RXにつなぎ、S11の位相を測定し、Port Extensionsのダイアログを開き、Ext. Port1の遅延値を調整して位相がゼロになるように設定します。
次に、治具のTX,RXを入れ替えて、VNWAの測定方向を逆にして、S22の位相を測定します。S11の時と同じように、Ext. Port2の遅延値を調整して位相をゼロにします。
これでキャリブレーションが終わったので、治具にフィルターを搭載します。
フィルターは、ネットオークションで購入したCW用のクリスタルフィルターです。
マーカーは、BandPassにして、Bandwidth Levelを3dBにしました。
リップルが大きいですが、入出力のインピーダンスマッチングが取れていないせいです。
そこで、VNWAに搭載されているマッチングツールを使います。 マッチングツールを使うためには、S11、S21、S22、S12の4つのパラメータが必要なので、両方向で測定します。
メニューのMeasureから、S-Parameters→2-Port→to Memoryと選択し、Terminal1→Terminal2でS11、S21を測定し、治具のTX、RXを入れ替えてTerminal2→Terminal1でS22、S12を測定します。
マッチングツールを開いて、Port1、Port2のインピーダンスを設定します。 入出力インピーダンスが判っている場合は、その値を入力しますが、今回は不明なので、リプルが一番小さくなるインピーダンスにしました。
測定結果では、中心周波数9.010694MHz、バンド幅0.48kHz、挿入損失-3.56dBになりました。
挿入損失の公称値は不明ですが、まあ、妥当な値ではないかと思います。
VNWAの通過特性の測定は、問題なさそうです。